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武蔵野の香 [日々雑感]

E233夕景:撮影;織田哲也.jpg

4月16日は康成忌なのだそうです。
『伊豆の踊子』 や 『雪国』 を遺した川端康成氏が1972年のこの日、伊豆アリーナの仕事場マンションで、ガス管を咥えて自ら生命を絶ったことにちなんでいます。
三島由紀夫氏の割腹自殺が引き金となったとか、老いへの過剰な恐怖で追い詰められていたとかさまざまな憶測が飛んでいますが、私は正直あまり興味がありません。
それよりも私にとっては、この日がフォーク歌手・高田渡氏のご命日であることのほうが印象的です。

コンサート会場ではなく、氏がこよなく愛した吉祥寺の 『いせや』 で、一度だけ姿を見かけたことがあります。
井之頭公園の入り口にあるほうの店ではなく、たまたま仕事仲間に連れて行かれた本店のほうでした。
「おい、見てみろよ、高田渡だ。まだ歌ってるのかなあ」
促されて振り返った先にいた氏と、一瞬目が合いました。
顔見知りでもないのに思わず会釈をしてしまった覚えがあります。氏もとまどいながら軽く頷かれたような気がしましたが、思い過ごしかもしれません。

今でも私は 『いせや』 に行くたび、高田渡氏の曲が何曲か頭の中に流れます。
ミュージシャンとしての活動はもちろん知っていましたし、ギター片手に弾き語ることのできる曲もひとつふたつありますが、特に熱心なファンであったわけではありません。
それでも 『いせや』 で呑んでいると、お店と一度だけ見かけた氏の雰囲気とが、自然にオーバーラップしてしまいます。
ほろ酔い加減であやふやな歌を口ずさみながら、井之頭公園内をぶら歩いて、氏の足跡を追いかける気分に浸ったこともありましたっけ。

気がつくと氏の享年をすでに越えて、生きながらえています。今も、今夜も。

http://www.youtube.com/watch?v=GBrsz1417H8
以前 『生活の柄』 をアップしたことがあります。今回は 『夕暮れ』。
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