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花に嵐の [日々雑感]

相模線橋本終点:撮影;織田哲也.jpg

昨日の気温のせいか、庭の梅木がほとんど満開になってしまいました。
ウチのは白が基調で、枝によってはピンクの花をつけます。お隣が紅梅なので、3色揃う季節です。
一気に開いた花は一気に散ることもあるので、ゆっくり眺めさせてもらえないのかもしれません。
春先は気候が安定せず、再び春の嵐かと思えば、ドカ雪が積もったりすることもあるので油断ならないのです。

『勧酒(かんしゅ)』 于武陵(うぶりょう)

勧君金屈巵 (さあ、この杯をぐっと飲み干すがいい)
満酌不須辞 (飲めないなんて無粋なことを言うもんじゃない)
花発多風雨 (花が咲いても嵐に散ってゆくことだってある)
人生足別離 (人生に別離はつきものではないか) ― 筆者翻案

茶の湯で言えば 「一期一会」 の理(lことわり)といったところですが、この漢詩が有名になったのは、ひとえに室生犀星(むろうさいせい)による翻訳文のせいかと思われます。
前半の2行はまともなので書きませんが、後半の2行は次のようになっています。

花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

これを名訳と受けるか、迷訳と突き放すか、人それぞれです。
寺山修二はこの訳文のあとに、「さよならだけが人生ならば、また来る春はなんだろう」 と付け加えたとか。物議をかもしそうな話ではありますが。

今とくに 「別れ」 にこだわっているわけではありませんが、せっかく出てきたネタなので、次の一節も紹介しておこうと思います。
初めて触れたのは大学を卒業してすぐの頃だったと思います。こんな表現は絶対に自分にはできないなあ、というのが素直な感想でした。
いや、できないなあというのは才能が足りない・追いつかないという意味ではなく、自分の知っている日本語とはまったく異次元の日本語を生きている人なんだなあ、という意味でです。それゆえに印象深い一節となりました。

こんどとても好きなひとが出来たら、瞳(め)をつぶってすぐ死んでしまいましょう。
こんど、生活(くらし)が楽になりかけたら、幸福がスルリと逃げないうち死んでしまいましょう。
カンナの花の美しさは、瞬間だけの美しさだが、あゝうらやましいお身分だよ。
またのよには、こんな赤いカンナの花にでも生まれて来ましょう。

『放浪記』 林芙美子

http://www.youtube.com/watch?v=gEjScoV-2BA
半音だらけのメロディーラインです。1979(昭和54)年
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