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4月の季語から [日々雑感]

E257『かいじ』と待機中の115:撮影・織田哲也.jpg

4月は 『卯月(うづき)』 と言い、「卯の花の咲く月」 がその由来です。
「卯の花」 はウツギの花を指し、白く可憐な花を咲かせることから、月光のようとか雪のようとか古くから詠われてきました。

卯の花や 盆に奉捨(ほうしゃ)を のせて出る (夏目漱石)

「奉捨」 は 「報謝」 とも記され、修行中の僧や巡礼の人たちに金銭や米などを施すこと。卯の花の咲く庭先で奉捨をしている光景を詠んだ句です。
4月8日はお釈迦様の誕生日、寺院では 「仏生会(ぶっしょうえ)」 が催され、誕生仏に 「甘茶」 をかけて寿(ことほ)ぎます。「遍路」 もこの月の季語のひとつです。
また、キリスト教においても 「復活祭(イースター)」 のお祝いがあり、それが歳時記にも載っているあたり面白いことです。

「春」 を冠した季語は、「春暁(しゅんぎょう)」 「春の雲」 「春雨」 「春日傘」 「春眠」 など目白押しで、いかにも 「春爛漫(らんまん)」 といった様相です。

もえさしる 草何々ぞ 春の雨 (加賀千代女)
草の家(や)の 柱半ばに 春日かな (芥川龍之介)

「桜前線」 「花吹雪」 「花時」 「花曇り」 「花冷え」 といった、「桜」 に関わる季語の多いのも当然でしょう。
桜以外にも、「梨の花」 「林檎の花」 「杏の花」 「沈丁花」 「二人静」 といった花々が、春の句を彩(いろど)ります。

故郷(ふるさと)の 目に見えてただ 桜散る (正岡子規)
花冷えの ともし灯ひとつ ともりけり (日野草城)

「永き日」 「風光る」 「遠霞(とおがすみ)」 などは、この時期ならではの季語です。
長い閑と書いて 「長閑(のどか)」 という字面には、心惹かれるものがあります。
面白いところでは、「石鹸玉(しゃぼんだま)」。光の丸い球が風に乗って遠くまで飛んでゆくのは、いかにも春らしい遊びの風景と言えそうです。
「風車」 や 「風船」 がこの月の季語になっているのも、わかる気がします。

春なれや 名もなき山の 薄霞(うすがすみ) (松尾芭蕉)
石鹸玉の 息ゆらゆらと 円(まど)かさよ (島村元)

旧暦の4月は新暦の5月にあたるため、歳時記の世界ではもう晩春となっています。「春惜しむ」 などと言いますが、まだまだこの季節に酔い足りない気分です。
春は仕事がしにくい。まったくそう思います。
少しの時間を見つけて、カメラと文庫本とお酒を引っ提げ、各駅停車のぶらり旅と洒落こみたいものです。

満顔の お国なまりや 花の下
頂(いただき)を目指して 朝の風光る

そうそう、エイプリル・フールも 「万愚節」 という季語で、しっかり歳時記に参列していました。

http://www.youtube.com/watch?v=bkTmnzLsHsg
春の虹 夢を残して 消えにけり
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