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色いろいろ② ― 白 [諸々の特集]

ロクヨン立川:撮影;織田哲也.jpg

イメージとしての 「対抗色」 は、色相理論上の 「補色」 とは必ずしも一致しません。
補色関係からすると、たとえば私たちが一般的に思い浮かべる 「赤」 の補色は 「青緑」 であり、「青」 のそれは 「橙」 ということになります。
けれどもイメージの面からいえば、「赤の対抗色は何色?」 という質問に、私たち日本人は 「白」 と答えることが多いです。
これは日の丸や運動会の組分けなど、「紅白」 の伝統があるからと考えられます。
同じ質問を西洋人にすると、「赤の対抗色は黒」 という答えが多いそうです。
また 「赤の対抗色は白」 と答えた日本人に、「では白の対抗色は?」 と尋ねると、これが 「赤」 でなく 「黒」 と答える人が多かったりします。
つくづく色彩の放つイメージは、言語感覚のそれと同じくらい面白いものです。

私の高校の制服は、夏は白シャツと決められていましたが、冬は上着の下にブルーやピンクのシャツを着ていても問題ありませんでした。
それでも下着は白が圧倒的主流の時代でした。
女子生徒のぱんちーが白なら、オシャレな男子は精悍なBVDの白ブリーフと相場が決まっていました。
かのゴルゴ13など今でもその習慣です。年に1回くらいの割合で、白ブリーフ一丁でマグナムを構えているゴルゴにお目にかかります。冗談みたいなシーンですが、ここまでくるといっそ潔いと感服せざるを得ません。

白が 「善」 や 「純潔」 の象徴とされるのは、洋の東西を問わず共通した感覚のようです。
神や天使と呼ばれる者は白衣をまとっていますし、ウエディングドレスも白無垢も結婚式の定番です。医者が白衣を着ることも第一に 「清潔」 の象徴です。
また下着やシャツに白が使われるのは、それが死装束の一種であるから、という説もあります。これは武士道との関係の深い話で、いつ闘って討ち死にしてもよい覚悟を定めたものという意味に通じます。

概ね良いイメージの白ですが、果たして本当にそうなのか、私はたいへん疑問に思っています。
というのも、白は 「覆い隠す」 ことを最も得意としている色ではないかと考えるからです。

大雪が降り積もった街は、たとえ普段そこが汚れた場所であっても、積雪のおかげでそのときだけは綺麗に見えたりします。
しかし雪解け後にどれほどがっかりする風景かを考えたら、手放しで喜べない効果です。
「美白」 などと言いながら、結局は白い化粧品を塗りたくるだけのことだってあります。
純白のウエディングドレスの下に、どれほど醜い心が隠されていようとも、清楚で可憐な花嫁を演出することができるわけです。
ビジネスの現場でも、クリーニング返りのホワイトシャツに身を包んだビジネスマン同士が、ドロドロして血なまぐさい思惑を秘めながら笑顔で交渉しているシーンなど、どこにでもころがっています。
そういう意味では、「白」 はたいへん罪深い存在の色です。
覆い隠す術にかけては、「大悪党」 の部類であると言っても過言ではないでしょう。

「善」 や 「純潔」 と「大悪党」 の二面性を持つ白。
長い歴史の中に脈々と生き続ける理由がわかるような気がします。
おそらくこのあと 「黒」 の項で、再度 「白」 にはご登場いただくことになろうかと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=zF07JLgHa_M

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